ホスピタリティ技術は進化が急速すぎて、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)のような重要なプログラムにいつ取り掛かるべきなのかを見極めるのは難しい、という人もいます。ホテルのCRMは、旅程全体を通してのそれぞれの顧客データとコミュニケーションをデジタル管理し分析します。そして毎日行わなければならない重要な決定に影響を与える基本的なプラットフォームとなります。CRMが提供するような多くの作業をすでに行われているかもしれませんが、その効率性や正確性は十分ではない可能性があります。
I. PMSから顧客データを頻繁にエクスポートしている場合
キャンペーン案内、レポート作成、到着リスト閲覧、満足度調査票送付などのために、ホテル管理システムの顧客データをエクスポートをしている状況であれば、それはCRMが必要としている兆しです。このような作業は、CRMのインターフェースを通して安全に管理されるべきです。デスクトップのパソコンに顧客データをいれておくのは安全ではなく、コンプライアンスを保護するITチームからの警告を受けることになるでしょう。データを盗まれる恐れがあるだけでなく、顧客にサービスを提供する場合に、誤ったあるいは古い情報を提供してしまう可能性もあります。
データを手作業で取り扱う場合に頻繁におこる問題は
1. 顧客にメッセージを送付するための、はっきりとしたGDPR(General Data Protection Regulation EU 一般データ保護規則)許可を持たない、もしくは他のEメールマーケティングプログラムをアップロードする際に、顧客の申し込み情報を誤って上書きしてしまう。
2. すでに予約して料金を支払っている顧客に、同期間の新しくより安いオファーを送付しまう。
3. 複数のEメールアドレスを登録している顧客に対して、複数の確認メール、アンケート、マーケティングキャンペーンを送付してしまう
4. PMSはクレンジング済みデータを自動的にアップデートしないので、顧客や見込み客について収集した貴重な情報が失われる。
GDPRはプライバシー保護に関する私たちのポリシーを大きく変えました。ホテル経営者に対し、いつ顧客データを取得し、保存し、使用するのかについての新しい基準を守るように要求しています。独立したプロパティが多くのデータを取り込まないとしても、そのデータがどこに保存するのか決定し、またその正確性を見極めるのは難しくなる可能性があります。
II. 顧客へのメッセージが一貫していなかったり、一般的すぎる場合
CRMが必要とされる2番目の兆しとしては、顧客のプロフィールや宿泊履歴に関わらず、顧客に対して同じプロモ―ションメッセージを伝えたり送ってしまったりすることです。訪問頻度や顧客タイプなどによりデータを分類することが、一番利益を生む顧客や、顧客の購買パターンを見極める手助けとなります。また顧客の旅程に沿った的確な内容を送付することができます。
パーソナライゼーションの欠如のために頻繁に起こる問題とは
1. 社会的年代的プロフィールと合致していない写真や体験プログラムにより、顧客を遠ざけてしまう。
予約エンジンやウエブサイト、トランザクションメールがダイナミックな内容を表示していなければ、市場の大きな部分を逃してしまう可能性があります。
2. 一番のお得意様の顧客に対して、特別優待をしていない。
データベースのすべての顧客に対し、淡々としたオファーを一般的なEメールキャンペーンとして送るだけでは、チャンスを逃す可能性があります。以前宿泊されたお客様に対しては優待すべきですし、他のお客様はもっとお金を使うつもりでいるかもしれません。
3. 見栄えがよくない。
ブランドがどのように評価に結び付いているか数量化するのは難しいですが、ウエブサイトや予約エンジン、Eメールが一貫していないと、顧客からの信頼を失うことにつながりかねません。
CRMはデジタルブランドを中心に置き、全てのコミュニケーションチャンネルを通して一貫性を確保します。
III. ホテルに今日誰が到着するか、またその顧客の価値も理解していない場合
ほぼ毎日、だれがチェックインするのか、どこから来ているのか、滞在をどのようにパーソナライズしていくか、見極めようと格闘されていらっしゃるかもしれません。リピーターの情報は、特定のチームメンバーのみが把握しているかもしれません。統合されたCRMならば、ゲストとの交流とまとめて、フロントスタッフにリアルタイムで推奨事項を提供することができます。このインテリジェントサービスは、客単価の歳入を高め、チェックインの待ち時間を大きく減らすことができます。
顧客の情報を360度保持してしないことから持ち上がる問題とは
1. サービスの履歴がそれぞれの従業員の手元にのみ留まっている場合。スタッフの離職率が高い場合、ホテルの施設としての記憶を永遠にとどめる重要な情報が失われてしまいいます。このような見識が失われると、繰り返し滞在するお客様にパーソナルなサービスを提供することができず、貴重な顧客情報をプロファイルすることができません。
2. ソーシャルメディアのレビューや過去の滞在調査をもとに顧客の期待を上回ったり、繰り返し起こる問題を避けたりができません。
3. 新しいお客様を、リピーターに育てることができません。お客様の情報を360度持っていないと、チームに対し適切にサービスを提供させたりアップセルすることができません。お客様が宿泊の理由を述べられた場合、その情報をスタッフが記録する場所がありますか?
ソフトウエアのプログラムが結びついていないと、頼りの情報は、印刷するころには有効期限の切れたものとなってしまいます。良いCRMは複数のデータソースから中心となるプロファイルを作成します。それぞれの顧客や見込み客に関するユニークな知識は、顧客の旅程のどの段階においても使用することができます。ウエブサイトや予約エンジンをとおしての予約から、チェックイン、料飲、ハウスキーピング、宿泊後、マーケティングまでです。
IV. CRM採用についてどのように上層部を説得するとよいでしょう
私たちの経験において、CRMはEメールリストを管理し、キャンペーンを計画し、新しい顧客を見つけようと奮闘されているマーケティング・ディレクターやセールスマーケティングディレクターによって確認されることが多いです。マーケティング・ディレクターはITや財務部マネージャーなど他のチームメンバーと協力し、総支配人や幹部に対しプレゼンをします。チームメンバを多く集めるほど、CRMの適用とこれからの運用の成功につながります。CRMは、顧客のデータとコミュニケーションを結び付けますが、またチームの目標と努力も結び付けるのです。
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